ジーンズのフロントポケットの両端、コインポケットの上、バックポケットの隅 ― あの小さな金属の鋲は「リベット」と呼ばれる。装飾だと思われがちだが、もともとは構造補強の機能部品だ。

リベットを最初にジーンズに使ったのは、リーバイ・ストラウスとジェイコブ・デイビス。デイビスはネバダ州の仕立屋で、鉱夫の作業ズボンが「ポケットの隅」から破れることに気づき、馬具用のリベットで補強する方法を思いついた。1873年5月20日、リーバイ社と共同で米国特許 US139,121 を取得 ― これが現代のジーンズの原型だ。

19世紀末から20世紀半ばまで、ジーンズの構造強度の半分はリベットが担っていた。が、1937年に有名な事件が起きる。バックポケットのリベットが学校の机や馬の鞍を傷つけるとして、リーバイス社はバックポケットのリベットを布で隠す仕様に変更。1966年には完全廃止される(フロント側のリベットは現在も残っている)。

つまり、リベットの意匠史は「補強部品 → 邪魔者 → ヴィンテージのアイコン」という3段階で進んできた。現代のジーンズで露出リベットを採用するのは、機能のためではなく、その意匠史への参照だ。

※用語ノート(短文コラム)