同じベースの生地でも、洗い加工と仕上げの条件で、デニムはまったく違う表情になります。濃色でクリーンにも、長年穿き込んだようなヴィンテージ感にも振れる。加工は、出来上がった生地に最後に足す演出ではなく、素材企画の初期から考えておくべき設計要素だと考えています。

ここでは代表的な加工を、「何のためにあるか」という視点で整理してみます。

ワンウォッシュ

織り上がった生地や製品を一度洗い、糊を落として縮みを安定させる加工です。濃色を保ったまま生地が柔らかくなり、購入後の寸法変化を抑えやすくなります。クリーンな濃紺、リジッドに近い表情を残したい企画に向いています。

バイオウォッシュ(酵素洗い)

セルラーゼ酵素で繊維表面を穏やかに分解し、柔らかさと自然な色落ちを出す加工です。石で擦るストーンウォッシュに比べて生地への物理的な負担が小さく、自然な着用感を出したいときに選ばれます。

ストーンウォッシュ

軽石と一緒にドラムで洗う、古典的な加工です。表面に物理的な摩擦を与えて、全体的な色落ちと柔らかな風合いを出します。ヴィンテージ感やラフな表情を強く出したい企画向きです。

レーザー加工

レーザー照射でインディゴを部分的に飛ばし、ヒゲやアタリ、柄を再現する加工です。手擦りや薬品ブリーチの一部を置き換えられるため、水や薬品の使用量を減らしやすい方式として、この10年で一気に広がりました。

PP加工

薬品で部分的に脱色し、ヒゲやアタリを強調する加工です。高いコントラストを出しやすい一方、作業環境や環境負荷への配慮から、近年はレーザーなどの代替手法と比較しながら採用を決めるケースが増えています。

オーバーダイとコーティング

インディゴの上から別の染料を重ねるオーバーダイは、着用と洗濯で表面の色が少しずつ抜け、下のインディゴが覗いてくる独特の経年変化を持ちます。樹脂やワックスで光沢やレザーのような質感を加えるコーティングは、ブラックデニムやモード系の製品、アウター用途で使われます。どちらも、洗濯条件や経年変化との相性を確認しながら設計する必要があります。

加工から逆算して、生地を決める

目指す表情が決まっているなら、生地設計と加工条件はセットで考えることになります。濃色を長く保ちたい場合と、短期間で強いアタリを出したい場合では、染色濃度も、芯白の残し方も、糸番手も、織り密度も変わってくるからです。

参考サンプルや「着用後にこうなっていてほしい」というイメージが一枚あると、産地の加工場との話が早く進みます。加工の名前から入るより、着地の絵から逆算するほうが、遠回りに見えて近道です。

デニム生地についてのお問い合わせ

ALLBLUEでは、加工まで含めた表情の設計を、生地の企画段階からご一緒しています。加工を含む別注のご相談はMADE TO ORDERのページを、まず実物をご覧になりたい場合はスワッチ(生地見本)をご覧ください。小ロットや個人でのご購入は、オンラインショップ(テキスタイルネット)でもお求めいただけます(カット販売・カード決済対応)。