綿花相場の定点、4回目です。前回から7週間空きました。3週間空けて反省を書いた直後に、今度は7週間。言い訳のしようがないのですが、その間に相場は、前回とは逆の方向へ動いていました。
10月16日時点のNY綿花先物は79.98セント/ポンド。前回確認した8月26日の88.34セントから−8.36セント、率にして−9.5%。月間では−2.67%、前年同月比では+24.42%です。8月に「28ヶ月ぶりの高値」と書いた水準から、ほぼ1割下がったことになります。
80セントを割り込み、2ヶ月ぶりの安値圏にいる、というのが現在地のようです。
何が動かしたか
報じられている材料は、今回も供給側に集中しています。ただし、向きが逆です。
米農務省の需給報告(WASDE)が、2026年8月〜2027年7月シーズンの世界生産見通しを2,566万トンから2,580万トンへ引き上げました。内訳は米国が288万トンから293万トン、ブラジルが403万トンから415万トンへの上方修正です。ブラジルの輸出見通しも338万トンから348万トンへ引き上げられ、実際に7〜9月の出荷は前年同期比18%増の45万3千トンだったと報じられています。
米国の収穫も、進捗率31%と5年平均の29%を上回る速さで進んでいます。夏に「作柄悪化」として上げ材料だった同じ作物が、収穫期に入ると今度は供給増の材料として数えられる。相場の報じられ方というのは、そういうものかもしれません。
一方で、上げ材料も残っています。アラバマ州とデルタ地域の綿花をハリケーンが脅かしており、供給リスクとして注視されています。米国の輸出が直近数週間で減速している点も、見通し自体は268万トンで据え置かれているものの、気になるところです。
7週間、目を離すとこうなる
前回は3週間で「横ばい圏の上抜け」が「28ヶ月ぶり高値」まで進みました。今回は7週間で、その高値から1割下がって2ヶ月ぶりの安値圏まで戻っています。上がり方が速いときほど戻りも速いことがある、と前回書いたことが、そのまま起きた形です。
ただ、前年比で見ればまだ2割以上高い水準にあります。原料の値段が下がり始めたからといって、糸や生地の値段がすぐに追いかけるわけではありません。上がるときの反映にも数ヶ月かかりましたし、下がるときはそれ以上に時間がかかるのが通例のようです。
コンバーターには、相場を見て仕入れのタイミングを計る余地があまりありません。需要に合わせて作るからです。だからこの定点は「安く買うため」ではなく、値段の話をするときに根拠のある数字を持っておくためのものです。「上がった」と「下がった」の両方を、自分の手元の数字で言えること。この連載の意味は、たぶんそこにあります。
来週も、同じ場所を見ます。
数値は2026年10月16日時点のNY綿花先物(Trading Economics)。単位はセント/ポンド。生産見通し・輸出・収穫進捗に関する記述も同サイトの報道要約によります。
