生デニム——織り上がったあと、洗いも加工も入れていない状態のデニム生地のことです。リジッド、ノンウォッシュとも呼ばれます。糊の張り、いちばん濃いインディゴ、穿き込みで育っていく余地。デニムらしさが最も強く残った状態と言っていいと思います。

ただ、この「何もしていない」という状態は、扱う側から見ると「何も確定していない」という状態でもあります。縮み、色移り、洗い後の表情。製品にする前に確認しておきたいことが、いくつかあります。

糊が残っている、ということ

織布の工程では、経糸を保護するためにサイジング剤——糊を付けます。生デニムの硬さと張りは、主にこの糊によるものです。

そしてこの初期の硬さが、色落ちの土台になります。膝裏のハチノス、腿のヒゲ、ポケット周りのアタリ。メリハリのある色落ちは、硬い状態で穿きジワが定着することから始まります。柔らかくなってから付いたシワは、輪郭が甘くなる。最初の硬さは単なる「未加工の名残」ではなく、表情の設計要素です。

縮みは「見込む」ではなく「実測する」

未洗いなので、最初の洗濯で縮みます。縦に数%、横に数%——と一般論では言えるのですが、実際の縮率は糸、織り密度、仕上げによってかなり変わります。

特に、防縮(サンフォライズ)加工が入っている生デニムと、未防縮のシュリンク・トゥ・フィット系では、縮み方がまったく別物です。リジッドのまま製品化するなら、反物段階の縮率、製品洗い後の縮率、家庭洗濯後の変化——この三つを分けて、実測の数字で確認しておく必要があります。カタログ値のままパターンを引くと、丈やウエストが洗いのたびに想定からずれていきます。

色移りは、起きる前提で設計する

生デニムは、インディゴの色移りが起きやすい素材です。淡色の裏地、革パーツ、白いスニーカー、バッグ、椅子。移るかどうかではなく、どこまで許容するかの問題として考えたほうが実態に合っています。

製品にするなら、摩擦堅牢度の確認、付属素材との相性、品質表示や注意書きの文言まで含めて、設計の一部です。

リジッドで売るとしても、洗った後を知っておく

リジッドのまま販売する場合でも、サンプル段階でワンウォッシュ後の寸法、風合い、ねじれ、アタリの出方は確認しておくことをおすすめしています。購入した人は、いつか必ず洗います。洗った後にどうなるかを作り手側が知らない、という状態は避けたいところです。

また、反物をリジッドで納品する場合と、製品をリジッドのまま売る場合では、管理する点が違います。前者は裁断・縫製前の縮率管理まで。後者は購入者が洗った後の寸法変化や色移りまで。同じ「リジッド」でも、責任の範囲が一段違う話になります。

リジッドか、ワンウォッシュか

生デニムの魅力は、穿き手が一から育てられることにあります。一方で、硬さ・縮み・色移りは、慣れていない人にはそのまま扱いにくさでもあります。

だから、リジッドの雰囲気を残しながらワンウォッシュで寸法を安定させて売る、という選択を取るブランドも多くあります。育てる体験を最優先にするならリジッド。サイズの安定と穿きやすさを取るならワンウォッシュ。どちらが上ということではなく、購入者に最初にどんな体験を渡したいかで決まる話だと思います。

デニム生地についてのお問い合わせ

ALLBLUEでは、リジッドでの生地販売にも、ワンウォッシュを施した状態での納品にも対応しています。縮率や堅牢度のデータも含めて、まずはスワッチ(生地見本)で実物をご確認ください。生地からの別注をお考えの場合はMADE TO ORDERのページをご覧ください。小ロットや個人でのご購入は、オンラインショップ(テキスタイルネット)でもお求めいただけます(カット販売・カード決済対応)。