デニム生地の商談で話題に上るテーマが、ここ一年ほどで変化してきています。

 

以前は「何オンスか」「どんな織り組織か」といった生地スペックの話が中心でした。現在は「この綿はどこから来ているのか」「染めの工程で水はどのくらい使うのか」といった、サプライチェーンや環境負荷に踏み込んだ質問が自然に混ざるようになっています。

 

とくに欧州のブランドは、原材料のトレーサビリティや製造工程の環境基準を丁寧に確認する傾向があります。EUの繊維に関する規制強化の動きも背景にあるようです。

 

加工技術の変化

加工の現場にも変化があります。

 

レーザー加工による色落ち表現は、数年前と比べて格段に自然な仕上がりになりました。熟練の手作業に近い風合いが再現できるようになり、水の使用量を大幅に削減できるメリットがあります。

 

ただし、手作業の揺らぎが生む表情と、プログラムされた揺らぎには、まだ質的な違いがあるという見方もあります。この領域は技術の進化と職人の経験が併存していく過渡期にあると考えられます。

 

セルヴィッジデニムへの関心

日本のセルヴィッジデニムに対する海外からの問い合わせは増加傾向にあります。ヨーロッパ、北米、アジアの各地域から、小規模なこだわり系ブランドが産地まで足を運ぶケースも珍しくなくなりました。

 

「ストーリーを語れる生地でないと使えない」——そうした声は、生地の風合いや強度だけでなく、産地の文化や製造背景までを含めた価値が求められていることを示しています。

 

循環型への模索

循環型、という言葉も繊維業界で存在感を増しています。

 

使い終わったデニムを糸に戻し、再び生地にする。概念はシンプルですが、実際にはデニムにはストレッチ糸、縫い糸、リベットの裏地など複数の素材が混在しており、単純なリサイクルは難しい。業界全体で最適解を模索している段階です。

 

大きな変革は一夜では起きませんが、産地でできることはあります。目の前の一反を丁寧に織ること、染めること、そしてその背景を言葉にして伝えていくこと。児島・井原・福山のデニム産地が、これからもその役割を果たしていくことが求められています。