Q. 日本のセルヴィッジ生地はなぜ海外産より高いのですか?
A. 主な要因は4つに整理できます。
- 生産速度の遅さ
シャトル織機は1分間に約60〜100回の打ち込み。一方、現代のエアジェット織機は1分間に約700〜1500回。同じ1メートルを織るのにシャトル機は10倍以上の時間がかかる。設備の運転コストが時間に比例するため、生地原価が直接的に高くなる。 - 熟練工の人件費
シャトル織機は機械にトラブルが起きた時、職人が即座に判断して止める・調整する必要がある。完全自動化できない。日本の人件費水準は、東南アジア・南アジアと比べて大きく高い。 - 小ロット運用
日本産地の多くは数十〜数百メートル単位の少量生産が前提。単一工場が日産数万メートル走る規模感とは、コスト構造が違う。 - 後加工との一体運用コスト
児島・井原のクラスター内で工程ごとに専門業者が動くため、各社の利益が積み上がる。垂直統合型の海外大規模ミルとは別の原価モデルになる。
これらの結果、海外プレミアム市場で日本のセルヴィッジは1メートル数千円〜数万円の価格帯に位置することが多くなります。
ただし、価格=品質ではありません。海外ミルでも近年は技術的に追いついており、「日本産だから無条件に高品質」という前提は単純には成り立たなくなっています。だからこそ、価格を構成しているもの(人材・産地・加工ネットワーク)を理解した上で発注することが、これからの時代の調達には重要になります。
※ Q&A 短答(よく聞かれること)
